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刑事事件弁護士コラム

刑事事件で示談をする理由

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示談とは

示談とは、広い意味では、紛争の当事者が合意により紛争を解決することをいいます。法律家の間で示談といわれる場合は、刑事事件に関する当事者(被害者と加害者)の間における、民事上の損害賠償等についての合意をさすことも多いです。
刑事事件で被害者がいる犯罪の場合、通常は、民事上の不法行為に基づく損害賠償義務が加害者に生じます。例えば、AさんがBさんを口論の末に殴ってしまったという傷害事件では、民法上も、AさんはBさんに対し、Bさんに生じた治療費や慰謝料などの損害を賠償する義務が生じます。

このような刑事事件に関して示談が行われる際には、損害賠償の有無・金額や支払い方法をはじめ、加害者の謝罪や再度接近しないとの約束、被害者の被害感情についてなどを文書に記載することが一般的です。

示談の意味

示談が成立する場合、そこには事件に対する被害者の一定の納得が示されていることになります。加害者の謝罪は受け入れなかったにしても、最低限、加害者による損害の賠償を受け入れているからです。
金銭で損害の賠償を受けるということは、犯罪によって被った被害の少なくとも一部を回復させる行為です。
また、被害感情の面でも、事件が親告罪であり、示談によって告訴が取り下げられれば、刑事処分は避けることができます。また、親告罪でないとしても、被害者として被害感情が穏やかになったと評価される文言が示談書に盛り込まれることがあります。

加害者にとっての意味として、このような示談が成立した場合、検察官や裁判所としても、その事情を考慮して、処分や判決を決めることになります。起訴前であれば、釈放や不起訴の判断の考慮要素となりますし、起訴後であれば、量刑の考慮要素とされることになります。

被害者にとっても、示談は、民事上の損害賠償義務の履行(慰謝料等の支払い)を約束され、謝罪や第三者に口外しないこと、加害者側に接近しないように誓約させることなど、金銭的なものを中心に一定の被害回復が図られるという効果があります。
加害者に科される刑罰自体は、治安維持のために国家が科すものなので、被害の回復という目的はありません。被害の回復のためには、示談等といった形で加害者との間で取り決めをすることが必要になってきます。

示談の方法

示談をする手続について決まりはありませんが、多くの場合は、加害者の側から、被害者に対して謝罪とともに話合いの機会を求めることになります。
被害者と加害者の当人同士での話合いは、被害者側に抵抗があったり、感情的になったりする可能性も高く、また、話合いをしてその内容を決めて合意することについては、刑事手続や民事手続についての理解も必要になり、容易ではありません。
多くの場合は、加害者の側、または双方に弁護士がついて、交渉が行われることになります。加害者側においては、刑事事件の弁護人となった弁護士が、被害者との間でも弁護人又は代理人として話合いを行います。

まとめ

以上に述べたように、示談がなされると、そのことが検察官に考慮され、不起訴となるか、起訴・公判請求がされたとしても裁判官に考慮されて、執行猶予が付くなど比較的軽い刑事処分が下されることとなります。
そのため、加害者側としては、被害者の方と示談をできるかどうかが重要となってきます。
しかし、上でも述べた通り当事者間の直接の話し合いはなかなかできないのが通常です。
そこで、加害者側としては、弁護士に依頼して、弁護士を通じて被害者の方と交渉し、示談の成立を目指すことが必要になります。弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者に弁護士の連絡先を伝えたり、被害者の連絡先を教えてもらったりすることにより、被害者と接触を図ることができます。
刑事事件を起こしてしまい、被害者の方と示談を考えておられる場合は、すぐに弁護士にご相談ください。

こちらも参照 痴漢と示談の効果

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