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刑事事件弁護士コラム

痴漢と示談の効果

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示談とは

痴漢事件では、痴漢の被害者の方と示談をすることが広く行われています。
示談とは、民事上の紛争を当事者の合意という形で解決することを言います。刑事事件の場合も、加害者と被害者の間では、加害者が被害者に(物的な損害に限らず精神的な損害も含めて)損害を与えているので、加害者に民事上の損害賠償義務が生じています(他方で刑罰は、治安維持のために国家が加害者を罰するもので、直接には被害者の損害賠償とは関係ありません。)。痴漢の場合は、精神的損害に対する損害賠償(慰謝料)を支払う義務が加害者に発生します。
この加害者と被害者との民事上の損害賠償について、加害者と被害者が合意することで解決する示談が、刑事罰を科す場面においても考慮されることになるのです。

示談の効果

示談は、民事上の損害賠償義務の履行(慰謝料等の支払い)を約束するものですが、それ以外にも、謝罪や第三者に口外しないこと、加害者に接近しないように誓約させることなどがあります。こういった示談の成立により、被害者の方には金銭的なものを中心にある程度の被害回復が図られるという効果があります。
前述しましたが、刑罰自体は、治安維持のために国家が課すものなので、被害の回復という目的はありません。しかし、被害がある程度回復していると、加害者に刑罰を科す必要性が低下すると考えられています。
そのため、痴漢の加害者と被害者の間で示談が成立した場合には、痴漢という犯罪の被害がある程度回復されたことになるので、検察官や裁判所に示談したという事実が考慮され、被害が少なくなったとみられ、不起訴になったり、軽い処分が下されたりするという効果を導きます。示談のなかで、被害者の方が加害者を許すということが盛り込まれている場合は、さらにその効果は強いものとなります。

示談ができない場合

示談ができない場合には、痴漢の加害者は行為の悪質性、前科の有無や反省の態度などが考慮され、刑罰を科すべきとなった場合には、問われた罪名(迷惑防止条例違反か強制わいせつ罪)に応じて数十万円の罰金刑や懲役判決といった刑事罰を受けます。
一方で、示談がなされない場合には、痴漢の被害者の方には何の金銭的賠償もなされませんし、痴漢の加害者に対して被害者の方に接近しないよう(例えば同じ電車を使わないよう)約束させることもできません。痴漢の被害を受けた方のためにも、示談をする有用性はあるのです。

こちらの記事も参照:痴漢の罪名

示談交渉の弁護士への依頼

以上に述べたように痴漢事件において示談がなされると、そのことが検察官に考慮され、不起訴となるか、起訴・公判請求がされたとしても裁判官に考慮されて、執行猶予が付くなど比較的軽い刑事処分が下されることとなります。
そのため、痴漢の加害者としては、被害者の方と示談をできるかどうかが重要となってきます。
しかし、被害者の方は、痴漢した方に恐怖心を抱いていますから、痴漢した方やその関係者が謝罪の気持ちをもって被害回復のために示談をしようとしても、被害者の方に直接接触することはできないのが通常です。
そこで、弁護士に依頼して、弁護士を通じて痴漢の被害をうけた方と交渉し、示談の成立を目指すことが必要になります。弁護士であれば、捜査機関を通じて被害者に弁護士の連絡先を伝えたり、被害者の連絡先を教えてもらったりすることにより、被害者と接触を図ることができます。
痴漢事件を起こしてしまい、被害者の方と示談を考えておられる場合は、すぐに弁護士にご相談ください。

こちらの記事も参照:痴漢事件の弁護士への依頼

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