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刑事事件弁護士コラム

痴漢冤罪と未必の故意

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はじめに

満員電車などでの痴漢冤罪の可能性は、昨今大きく取り上げられているところです。痴漢冤罪に対応した保険商品や、冤罪か否かは不明ですが線路を走って逃げる事例などがニュースになることもしばしばあります。
冤罪とは、真実は無罪とされるべきところ、有罪と認定されてしまうことを言いますが、痴漢をしようと確定的に思っていなくとも、真実有罪と認定されるべきケースもあります。痴漢について未必の故意があるケースです。

痴漢冤罪の問題

まず前提として、痴漢冤罪は大きな問題であることは指摘しておかなければなりません。
真実は犯罪をしていないのに罪を犯したとされてしまう冤罪は、1人の人間の人生を狂わすものです。中でも痴漢冤罪は、痴漢という犯罪の卑劣さゆえに社会的なダメージも大きく、身近さゆえにごく普通の人が巻き込まれる可能性のあるものです。
また、実際に起訴されてしまうと無罪を勝ち取れる可能性は限りなく低いため、いかに痴漢冤罪に合わないようにするか、が大事になってきます。

痴漢と未必の故意

痴漢冤罪と主張されるもののなかには、「手が触れたけど、たまたま当たっただけで触るつもりがなかった」ということを言われている場合もあります。
「痴漢をしよう」と思って被害者の方を触ると、当然、痴漢として迷惑防止条例違反に問われることになります。これは痴漢の故意があるためです(当然ながら痴漢を処罰する迷惑防止条例は行為者に故意がある場合に適用されるもので、痴漢をするつもりがないのに過失で触ってしまった場合は処罰されるものではありません。)。
では、満員電車の中で、たまたま女性と密着する状態になりそうなとき「このままでは女性のお尻に手が当たるかも」と思いつつ、手をよけるような動作をすることなく、手が女性のお尻に当たる状態になったらどうでしょう。
この場合にも故意が認められ、迷惑防止条例違反が成立する場合があります。
それが、「未必の故意」があるといわれる場合です。
「女性のお尻に手が触れてしまうかもしれない。でも、しょうがない。」と、痴漢をしたのと同様の結果の発生を認めてしまうと、「未必の故意」として、故意が認定されるのです。

「未必の故意」に隣接する概念として、「認識ある過失」といわれるものがあります。例えば、手が女性のお尻に触れるかも、とは思っても、そんなことはまず起こらないだろう、と結果の発生を認めない場合、「認識ある過失」として、故意は認定されず、過失が認定されるにすぎないのです。
このように「未必の故意」と「認識ある過失」とは、非常に判断が微妙な隣り合った概念ですが、現実問題としては、痴漢において「認識ある過失」しかなかったと認定できる状況は稀でしょう。

まとめ

冤罪だと主張される方の言い分は多種多様です。しかし、特に痴漢の場合、「痴漢をするつもり」という故意を認めない方の話を聞いていると、正直「未必の故意」くらいはあったのではないかというような方もいらっしゃいます。
客観的な状況やご自身の状況認識などを踏まえて弁護士と相談し、罪を認めるべきかどうか判断していくことが大切になります。
大阪バディ法律事務所では、相談者の方にとって最も有利になるように、真摯に相談に応じていますので、ぜひ一度ご相談下さい。

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